美容室 中の

物静かだが存在感のあるサロン

昔ながらの商店と、カフェや雑貨屋など新しい店が共存し、レトロな雰囲気を残している商店街で夫婦二人で経営する完全予約制のサロン。
薬剤や施術方法にこだわり、常に実験的努力をしながら、お客様一人一人に最善の方法でじっくりと施術を行っていきたいというオーナーのスタンスを空間で表現しようと試みた。
テナントは間口が非常に狭く奥に長い古い長屋の1階。この空間全体を一つの個室空間として捉え、入口るぐにセット面を、その奥既存階段があり絞られたスペースに受付・待合・カウンセリング・調合の機能を持たせた3.6mのモルタル仕上げのカウンターを、店舗奥にはゆったりと過ごしてもらえるように小上がりのようなシャンプーブースを配置し、作業性と快適性を考慮してレイアウトした。
素材は墨調モルタルに漆喰壁と和の雰囲気のあるもので全体を統一し、スタイリングは木毛セメント板や鉄の赤錆などラフで実験的なものを、シャンプーはタモ材のフローリングや壁に床間接照明などで安らぎと温かみのあるものを用いるなど、オーナーの姿勢やこのテナントの特性を考慮してフェイクは極力使わずに、素材感のあるリアルなものを選んだ。
入口もアイコン的なのれんの奥に万本格子戸があるだけのシンプルな構成にし、全体を通して物静かだが存在感のあるサロンになったと思う。