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グループ内デザインコンペ

「TBCA2023」受賞作品のご紹介



「TBCA(Takara Business Creation Awards)」とは、タカラスペースデザインのデザイナーが設計したサロンやクリニックの中から、特に優れた作品を選出するグループ内デザインコンペ。日本を代表するデザイナーや業界ジャーナルも審査に加わり、業界の動向を捉え、今後のコンセプトを探求していく場にもなっています。

7月に行われた第33回「TBCA2023」最終審査会では、著名な外部審査員をお招きし、白熱したディスカッションの末、各賞が決定!
サロン部門 設計デザイン賞の受賞作品をご紹介します。

外部審査員

・五十嵐 久枝氏
(武蔵野美術大学 教授/IGARASHI DESIGN STUDIO)
・芦沢 啓治氏
(芦沢啓治建築設計事務所)
・鬼木 孝一郎氏
(株式会社鬼木デザインスタジオ)

<ファシリテーター>
・塩田 健一氏
(株式会社商店建築社 月刊商店建築編集部 編集長)

サロン部門 設計デザイン賞 金賞

  • room hair & head spa

    room hair & head spa

    デザイナー:湯口 巌

    駅前雑居ビル5Fのテナントで、大型サロンから独立されたご夫婦の開業案件。ご夫婦からは、それぞれに持つ顧客の客層が異なる事、将来的に一部面貸しを想定している事から、「個室に分化するレイアウト」のリクエストが。さらに、雑居ビル内にある事から、外にいるようなリラックス感、自然を感じられる空気感が求められた。
    それらの要望をまとめ、4つの部屋を十字型の通路空間でつなぎ合わせる「田の字」レイアウトを採用。個室のプライバシーを高めることはもちろん、移動する際の期待感やリセットする時間など通路空間での体験に着目して空間を構成した。黒い水盤を思わせる空間から、桟橋を思わせるウッドデッキの空間に進むと、先にはルーフバルコニーからのふんだんな自然光が待ち受け、そこから脇に降り個室へと進む導線をデザインした。進むに連れてシーンの変化が現れ、記憶に残る空間となっている。また、デッキや柱には木造住宅の解体時に取り外した古材を使用。加工や経年変化の跡、色ムラ等はそのまま使用し、外にいるような印象を空間に添えている。

    審査員からは、「ミラーを巧みに使用しており、面積よりもかなり広く見えるよう工夫されていて秀逸」「コメントする事が無いほど細部にわたり緻密に計算されていて、素晴らしい」「床を水盤に見立てるアイデアやデッキに古材を使用する発想など、参考になる作品」などと評価された。

サロン部門 設計デザイン賞 銀賞

  • NUTS MEN'S HAIR

    NUTS MEN'S HAIR

    デザイナー:林 優佑・嶋木 良

    住宅街のメンズサロン。「モテる」メンズスタイルを確立すべく、それにふさわしい空間が求められた。
    「生まれ変わる」をコンセプトとし、サロンで新たな自分に生まれ変わる顧客の体験と、空間をリンクしていくようにデザイン。古いテナントビルの既存の特性を活かしつつ、新たな特性を加えることで空間を作り上げている。ラワンの曲げ合板を壁に沿わせ、木目を残しつつ銀色に塗装。可動式ミラーを掛けるなどの機能もあり、サロンのアイコンとなっている。空間全体を銀色の帯でつなぐことで空間を統一し、インパクトのあるデザインに仕上げた。

  • シェービングアンドヘアサロン ポノラカ

    シェービングアンドヘアサロン ポノラカ

    デザイナー:篠崎 海・小林 昌平

    二児の母である女性一人の独立開業案件。オーナーからの「自分らしさ」という要望に対し、女性の繊細さを表現するためにドレープのカーテンによる仕切りを採用。各メニューごとにブースを分け、カーテンで優しく包み込むような空間構成とした。また、もう一つのテーマ、「母親の力強さ」を表現するため、ブース内に多くの光を当て、内から外に漏れ出す光でパワフルさを表現した。
    ブースの内と外の関係性、透過率を調整し、奥へ進む導線のワクワク感やブースに入る期待感を演出したプライベートサロンとした。

  • Hair salon カトレヤ

    Hair salon カトレヤ

    デザイナー:堀川 塁

    女性一人サロンの独立開業案件。オーナーは海外でのバックパッカーや海外勤務の経験から、様々な文化を取り入れたいと希望。和洋折衷の空間を構成する要素として、黒く塗りつぶされた格子を天井から吊り下げて空間を仕切る方法を採用。格子は可動式な為、人数やシーンに合わせて適切な空間をつくる事が可能となっている。格子により、閉鎖的にならずに周りが気にならないサロン空間が完成した。また、さまざまな世代の方が通えるよう、車椅子や高齢者の方を意識し、バリアフリーのサロンとした。

  • Hui

    デザイナー:湯口 巌

    ご夫婦による郊外の独立開業案件。「白色や木目を使用せず、グレーのみの洗練された凛とした空間デザイン」が求められた。お客様やここで行われるサービスを主役と考え、それを引き立たせるために空間はグレーにしたいという意図である。店名の「Hui」はハワイ語で「集まる」の意。そこから着想し、グレー一色の空間に波で陰影をつけたグラデーションを添えた。波をズラして設置することで、陰影と併せて立体感や重厚感、オリジナリティを演出。またズレにより生まれる奥行きを活かしてディスプレイができる棚機能に充てた。
    さらに、波とは対比的に石素材のみで構成するプレーンなカウンターを置くことで、空間全体に落ち着きを加えている。

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