初めての幹部ミーティング /「教えて!澗口さん」経営者五代は考える! 開業10年目には何をなすべきか / タカラベルモント サロンオーナー経営講座

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第3回:
初めての幹部ミーティング



2週間後に狩野さんから連絡があり、来週の休みの日の午後に会う約束をした。
その日までに、スタッフとの面談を行うことにした。
今までもミーティングというカタチで月1回は行っていたが、ある意味一方的に自分の話をしてきていただけで、スタッフからの意見や希望を具体的に取り上げてきたことはなかったような気がしていた。今回セミナーを受講するにあたり、できたら全員で参加するようにしたほうがいいと思えたからだ。

まずは、チーフの飯田さん、スタイリストの羽田君の二人に確認していこうと考えた。
明日か明後日の夜に食事をしながら幹部ミーティングということで話をしてみよう。


飯田さんと羽田君に朝礼終了時に声をかけた。

「ふたりとも、ちょっといいかい?」

「なんでしょうか?」

「なんでしょうか?」

「急で悪いんだけど、明日か明後日の夜空いているかい?ちょっと相談したいことがあるんだけど、食事しながらでいいからどうかな?」

「空いていますけど、何ですか?できたら明後日のほうがいいです。」

「食事付ですか?それはありがたいな。僕も明後日でいいですよ。でも何か怖いな。」

「どんな話なのですか?心づもりが必要な話ですか?」

「いやいや、そんな話ではないよ。このお店も実は10年目を迎えることになるだけど、今後のことを二人には“幹部”としての意見を聞いておきたいと思っているんだ。これまでは自分の考えだけでやってきたけど、これからはそれだけでは駄目なような気がしているんだ。その為の第1回ミーティングということでお願いしたいんだ。急なお願いだから、好きな食べ物を選んでくれていいからさ。もちろん費用は俺が持つから。」

「幹部だなんて・・・。今まで“技術”とアシスタントの教育のことだけ考えていましたから、今後のことといわれても、よく分からないです。」

「僕もいずれ独立したいということを分かって採用いただいたので、幹部といわれても・・・。」

「そんなに硬く考えなくてもいいからさ。羽田君にしても、独立するにも“経営”のことを勉強するほうがいいし、その為のいい機会にしていくつもりだからよろしくね。」

「分かりました。では、お店は私が行きたいと思っていたイタリアン料理のお店でいいですか?羽田君もいいよね。」

「経営のことも学べるんですね、分かりました。」

「では、予約頼んでもいいかい?予算は気にしなくてもいいから。」

「予約しておきます。時間は夜の9時30分でいいですか?」

今までは、“自分のお店”だから自分自身がサロンの方針を決めて実行していけばいいと考えていた。でも今回は、スタッフとのコミュニケーションを取りながら進めようと考えたのは、自分がメインスタイリストとなって頑張っていたというだけで、結局大きく売上を伸ばすことができていなかったこと、そして、ちょっと前に藤代と会ったときの彼の自信に満ちた会話を思い出すと、“スタッフの力”って大事だなと考えたからだ。
今までのように自分1人だけが中心になってやっていくやり方では、これ以上の売上は期待できず、スタッフが入れ替わる度に売上が変動してしまう。解決するためには、働いているスタッフがそれぞれ活躍できる仕組づくりを目指さなくてはならないような気がしていたからだった。



2日後、イタリアンレストランにて・・

「今日は集まってくれてありがとう。サロンの今後についてなんだが、私が考えていることを聞いて率直な意見を聞かせてほしいと思っている。食事をしながらでかまわないし、アルコールもOKだから。とりあえず注文をしよう。飯田さんよろしく。」


飯田さんが、ビールとワイン、そして料理を注文した。

「これまで、お店の経営についてそんなに詳しく話をしたことがなかったと思う。
お店の売上を上げるために、二人にはお客様を数多く担当してもらいたいと新規客も集めてきた。その為の値引も必要だと思ってきたんだが、何か少し違うのかな、今までのオーナーである自分ひとりが考えてやってきたことが良くなかったのではないか・・と思えてきたんだ。
そうだな・・ 例えば、値引して集めた新規のお客様もそんなにリピートしていないように見えたし、それについて二人にどうのこうのとは言ってこなかったけど・・・、言いにくいけど・・・、技術的なことが原因かなとも考えていたんだ。
でも、どうもそうでないようなんだ。実は先日タカラの営業マンに来てもらって、10月に行われるイベントの経営セミナーを受講しようと考えていたんだが、自分ひとりで聴くより、スタッフ全員で聴いてもらいたいと考えているんだ。そのあたりの話をしていこうと思っている。食事をしながらでいいかな?」


「今後のサロンの事とセミナーが、関連あるのですか?」

「上手くいっているサロンの話を以前聞いたことがあって、『一人が売上を上げているように見えるサロンはどこかのタイミングで売上が止まってしまう!』らしいんだ。まさしく今のうちのサロンがそうなんだけど・・・、『働いているスタッフが元気になる仕組がいる』って言っていたんだ。
今回も今の時代に頑張っているサロンが出るらしいので、俺だけでなく、みんなにも聞いて欲しいんだ。“みんなが元気になるサロン経営”が必要だと思うんだ。
羽田君にしても、今すぐ独立をするわけではないだろうし、それまでの間に、経営というものに触れるチャンスができると思って協力をしてほしいんだ。飯田さんには、”女性の目線“で働きやすいサロン環境とは何か考えて欲しいと思っているんで是非一緒に考えて欲しい。」


「・・・まだよく理解できていませんが、自分の役に立つのであれば、セミナーに行くのはいいですよ。でも・・その前にまず乾杯して食事にしませんか?」

「私もいきなり“経営”といわれてもピンときませんが、“働きやすい環境”という言葉には興味がわきますし、私の意見が反映されるのであれば面白そうですね。参加します。では、まずは乾杯しましょう。オーナーお願いします!」

「お二人には参加いただけるということで、乾杯してもいいね。では、乾杯!! 明日も仕事なので、お酒はほどほどにお願いしますよ。」

「チーフは、底なしらしいですよ。えっちゃんが話していましたからね。」

「余分なことは言わないの!オーナーは知らなかったはずだから!」

「知らなかったことにしておこう・・・。」



食事とワインが進んでいきます。

「酔っ払わないうちに話を進めたいのだけれど、アシスタントのえっちゃんとあっちゃんもそのセミナーを受けてもらいたいのだけれど、話をしても大丈夫かな?」

「セミナーって休みの日ですよね。せっかくの休みをつぶすことになってしまいますので、“業務命令”として参加させるのではなく、自分たちが喜んで参加したいと思えるようにしてあげないといけませんね。セミナー以外にどんなイベントがあるのですか?」

「その話なんだけど、今度の休みの午後からタカラの営業の人が来てくれてどのセミナーを受けるのがいいのかレクチャーをしてくれることになっているんだ。そのときにはある程度わかるはずだよ。」

「今度のお休みの昼からですか?私も参加してもいいですか?セミナー以外の内容も知っておきたいし、彼女らの参加したがるイベントがあれば、勧められるし、どうでしょうか?」

「それがいい!僕も参加していいですか?空いてますし、昼飯付ですか?」

「昼飯は考えておくよ。二人とも参加してくれるなら、第2回目ミーティングとして開催しよう。向かいのコーヒーショップのテープル予約しておくよ。14時からでいいかい?ケーキ付でどうだ?あそこのケーキ上手いよな。」


“経営”という二人にとって馴染みのない話題だったが、“独立開業”“働きやすい環境”というテーマに置き換えることで、五代が予想していた以上に上手くスタートが切れたようだ。いずれ羽田君が独立したとしたら、俺以外は、スタッフが女性ばかりになってしまうことに気づいた。近い将来そんなことを想像もしていなかっただけに少しドキッとしてしまった。コレって『俺が考えていた“理想”なのか?』

先に狩野君にそのあたりも含め、どんな内容か事前にヒアリングしておこう。
早速連絡をしておくことにした。


(次回につづく)