IKIMEN Barber Project [粋男] タカラベルモント株式会社 ビジネスモデルご提案

IKIMEN
バーバー再生プロジェクト

4) 顧客価値、推移分析とは サロンにとって本当に必要なお客様を知り、増やして行く

SPA&CARE YASUMURA /安村 彰浩 氏

あるサロンのデータを見てみてください。
図1の表①を見てください。

<図1>
サロンの2年間の数値を来店回数と客単価とを比較しています。
表①前年度今年度差異
来店回数4.0回4.2回+0.2回
客単価4,100円4,200円+100円
来店回数も客単価も上がっているので業績は良いようにみえます。

下の表を見てください。
表②前年度今年度差異
売上(年間)1,148万円1,058万円-9万円
年間カルテ数700人600人-100人
実際の売上はダウンしてしまいました。

100名のお客様がいなくなっていることで、売上が年間9万円下がってしまいました。
 ① どのお客様が失客してしまったのか?
 ② どんな新規のお客様が獲得できたのか?
 ③ ずっと来ているお客様(売上 上位20~30%の優良なお客様)の売上は上がっているのか?
  下がってしまっているのか?
この3つの点が特に重要
です。データからしっかりそのお客様の来店動向を見ておかなくてはなりません。

小さなサロンでは、一人ひとりのお客様に近いという利点があり、売上を上げるためのお客様の数(カルテ客数)は少なくて済むわけです。でもほとんどのサロンでは、顧客データ(カルテ)を活用されていません。
「顔をみれば分かるからそんなの必要ない、いいお客様は毎月来ているから管理なんて必要ない」
と考えておられる方が多いのではないでしょうか。

上の表は8%の売上ダウンです。月8,000円弱の売上ダウンです。
客単価は上がっているのですが、お客様が月8~9名失客して1年で100名も来なくなってしまったことが原因です。
この原因が分からないと、次の年も同じことが起こってしまったら売上はもっと下がってしまいます。

この表から推測できることは、①新規のお客様が前年よりかなり減ってきているか、②あまりお金を使ってくれなかったお客様が来なくなったかの失客があり、今まで来てくれているお客様は継続して来てくれているだろうと推測されるわけです。

でも、どのお客様が減ったのかはデータを見なければ分からないのです。
失客の原因も分からないですよね。こうした場合POSデータが必要になるわけです。
サロンの現状を知る方法の中で、【顧客価値推移分析】は大変便利な方法です。

【顧客価値推移分析】の表のイメージと簡単な説明です。
大まかですが顧客価値推移分析の見方をご案内しますので、参考にしてみて下さい。

顧客価値推移分析とは、半年又は1年の期間で縦軸に今期の売上貢献度、横軸に前期の顧客の貢献度を設定し顧客がどの分類に属するかを分析したものです。
貢献度別に顧客の推移が把握出来ます。

注目する分類の顧客が期間でどう移動するのかを顧客1人1人単位で追うことが出来ます。
なので、どの分類にどの様な企画や行動をすればいいのかがわかり、結果も見る事が出来ます。
<図2>
サロンの2年間の数値を来店回数と客単価とを比較しています。

新規のお客様がどの様に優良顧客に成長しているか見たり、コンセプトに合った顧客が集まって来ているか?
(③から②の方向へスライドしているセクションが特に重要)

失客予備軍の発見(前期売上より後期売上のほうが低いセクション。
特に②の直下のデータから①にかけてのデータは失客予備軍です)など。
本来は難しいサロンの状態を数値化して見る事が出来るツールなのです。
私のサロンもそうでしたし、他のコンサルサロンも顧客価値推移分析から、問題点を見付け戦略を組むことで、かなり早い速度で効率的に成長することが出来たのです。

どの顧客がサロンにとって大切なのかを知る事で“ブレ”ない経営が出来るのです。

小さなサロンは顧客との結び付きが高いのが特徴ですが、逆にその顧客が失客すると大きなダメージになります。
少しでも早く可能性のある顧客を見つけ、対策を立てることが新規集客獲得より大切だと思います。(図3)

<図3>

各セグメントから、瞬時に一覧表が見れるので多種の対応策に利用出来ます。
まずは上位20%の顧客を抽出し、確認する事から始めて下さい。
このお客様がお店のコアで大事なお客様です。
売上を上げているサロンは売上 上位20%にあたる優良顧客層での売上は必ず上げているのです。
先ほどの図1での売上もこの上位20%の優良顧客に対する仕組みを考えて活動することができていれば売上もマイナスではなく、プラスにすることも可能だったのです。

この業界の売上至上主義的な考えがまだ多く、月の売上がいくらにだとか、年商いくら、客単価がいくらという話が中心となっていると思いますが、実際そうでしょうか?
サロンの増床や拡張移転、多店舗化で本当に儲かるんでしょうか?

効率経営の為には利益至上主義であるべきだと私は思います。
特に小さなサロンは、そのステージで戦う事で大きなサロンと対等になります。
今後このコラムでもう少し詳しくお話をしていきましょう。




安村 彰浩氏
『SPA&CARE YASUMURA』 オーナー

やすむら・あきひろ。『SPA&CARE YASUMURA』オーナー。'63年7月22日生まれ。大阪府出身。大阪中央理容美容専門学校卒業。経営コンサルタントとしても活躍中。