第14回:“いいお客様”を考える/「教えて!澗口さん」 Fさんの事例[開業5年。売上の伸び悩みを解決したい] タカラベルモント サロンオーナー経営講座

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第14回:
“いいお客様”を考える


次の日、Dさんからリストが届きました。
全部のカルテを見ることまではできていないので、この3ヶ月で2回以上来店してもらっているお客様のリストでした。
148名のリストがあります。この1年間に来店されたお客様の約15%だそうです。

このリストのお客様は、年6回以上来店されている来店サイクルの短い“いいお客様”だそうです。一見すると、カラーをされているお客様が多く含まれていそうです。
その他“いいお客様”でこのリストから漏れていそうなのが、この期間1回しか来店されていないけど、来月には来そうなお客様、つまり、前月来店されて今月は来なかったけど来月来るかもしれないお客様です。
意外とリストアップは難しそうです。この148名は“いいお客様”で問題ないでしょうが、そのほかの“いいお客様”はもれている可能性があります。それではいけないわけです。
Dさんから提案がありました。

Dさん:
「この148名の特徴を調査してみるのはどうでしょうか?特長が分かれば、同じような特長を持ったお客様は“いいお客様候補”として、まだ来店間もないお客様だったり、これから新しく来てくださるお客様にも提案できますよね。
炭酸泉を、無料にするのか、半額にするのか迷っていますよね。これは私のアイデアなんですが、チケットを作成して炭酸泉限定の1,000円オフ券と500円オフ券を作るのはどうでしょうか?それを、私たちシャンプー担当者が、お客様によってどちらをお渡しするか決められるという考えです。次には正規な金額でもやってくれれば成功ですよね。少し冒険なのですが、面白くありませんか?
スタイリストの方が決めるのではなく、アシスタントの私たちが決めるというのはダメでしょうか?1,000円券か500円券、どちらをお渡しするのか、私たちが決めることで目標を持つこともできますからね。いかがでしょうか?
この件に関しては、Cさんが私が決めていいとおしゃってくださいました。ですから、Cさんも賛成してくれると思います。しっかり統計を取っていきますから、評価もできますよ。Cさんとの競争も楽しみです。いかかでしょうか?
もちろん“いいお客様”の調査もあと2ヶ月続けていくつもりですから、その精度は上がりますよ。
それからもうひとつ提案なのですが、こうした手作業もけっして無駄ではないと思いますが、コンピュータの顧客管理システムも、今後売上が上がれば、お客様の数も増えてきますので必要となってくると思います。是非AさんからFさんにこの件も伝えてくれませんか?
けっして面倒だからいっているのではありませんから。宜しくお願いします。」


Aさんは、いつの間にかCさんの時から圧倒されてしまっています。

Cさんには、B案までの提案は絶対だと念を押されるし、Dさんにいたっては、よくお客様のことをみている観察力の高いスタッフだとは思っていましたが、何回かの話合いをしていくうちにしっかり自分の意見を言え、さらに自分に対する目標まで設定して、顧客管理のプロとしての自分の存在価値を見出してきているようでした。

ひょっとしてFさんは、経営会議に参加させることで、経営という視点で、スタッフの意見を汲み取る環境を提供し、自分をより店長的な立場においてくれたのかもしれないと考え始めました。
Fさんがオーナーとして決定したことは、ある意味、命令的、絶対的になり、『オーナーが言うから仕方がない』的な気持ちで行動する危険性があることが分かっており、オーナーが進めたい方向性だけを決め、Aという私を通してその方向に持っていっているのかもしれない。スタッフも自分たちが決めたことは、自分自身の目標として自主的に活動するのが一番いいと考えての活動だったのかとも思えてきました。

お店が成長していくためには、単に売上を上げろといったところで、スタッフにすれば具体的に何をすればいいのか分からず、単にその日の売上を上げることしか思いつかない。こうしたことは、来ていただいているお客様にはかえって迷惑な話でしかないということを気づかせてくれたのかもしれない。
みんなで話し合うことで、どうしたら売上が上がるのか。そのためにはお客様に何をしなくてはならないのか?今までと同じ事をしているだけでは何も変わらない。自分ひとりが頑張ったところで売上なんてたかが知れている。みんなで同じ方向に向いてそれぞれの役割をしっかり認識して、お客様にとって何がいいのかということを真剣に考えることで、いい方向に向かうことができるということに気づかせてくれた訳なのだと納得がいった瞬間でした。

Fさんに提案するのは、B案で、みんなの総意を私がまとめ決定して提出する。
そして投資した金額を、売上を上げることで十分に短期間で回収できる計画書さえつくれれば、Fさんは承認してくれる。Dさんが言っていた顧客管理システムもその必要性をしっかり伝えれば問題はないと思えるようになりました。

次回は、いよいよFさんに提出する計画書の内容。そしてその1年後という2回でこのシリーズも終了となりそうですね。

(次回につづく)