第5回:『サロン経営』をスタッフと一緒に考える 後編/「教えて!澗口さん」 Fさんの事例[開業5年。売上の伸び悩みを解決したい] タカラベルモント サロンオーナー経営講座

HOME > サロンオーナー経営講座 > Fさんの事例[開業5年。売上の伸び悩みを解決したい] > 『サロン経営』をスタッフと一緒に考える

第5回:
『サロン経営』をスタッフと一緒に考える 後編


≪対策Ⅰ≫ どうしたらお店の売上を月40万円以上UPできるのか、あるいは、アシスタント採用以外にいい施策があるのか

さて、“経営会議”後半です。

前回、お店の売上を上げること、それも月40万円上げることは、Aさんとも共有できました。具体的な施策はAさんに関することも含め、次回“経営会議”に持ち越しですが、もう1つのテーマの“新スタッフ採用”については、Aさんから『必要ないのではないのか』という意見が出ました。

確か以前あるセミナーに参加したとき、これからの美容室の経営で考えるべき重要な項目の1つは、【一人当たりの生産性】だと言っていた事を思い出しました。ある一定以上の売上が確保できていないとお店の利益も残らない。そしてスタッフの給与も充分に払えないし、今後の投資もできないとかいう話だったはずです。

一定以上とは、いくらだったか・・・?『一人当たり70万円とか80万円』とか言っていたなぁと思い出していましたが、Fさんのサロンでは、昨年も今年も50万円を切っています。聞いた数字とは大きく離れている現状に、“お店の利益”という項目が新たに加わってきたと考えざるを得なくなりました。

今の人数で売上が40万円上がり月280万円を達成できると、一人当たり56万円になり【一人当たり生産性】が8万円上がることになります。“利益”の面からもプラスになるはずですから、新スタッフの採用は見送り、売上を月40万円アップするという、この考え方は絶対悪い話ではないと考えることができます。

では、どうやってこれをスムーズに進めることができるかを考えなくてはなりません。
お店のメリットは、利益が増えることで、これからの投資も可能になることです。
スタッフのメリットは何だろうか?お店だけの都合で押し付けてしまうことは、スタッフのやる気を削いでしまうことにもなりかねません。どうやって“やる気”を削がずに、忙しいけど楽しく働ける環境をどう作るのか?

『これが問題だ!』

では、Aさんの話の続きです。

Aさん:
「実はトリートメントの売上が下がっていたことには、少し驚きました。このメニューは開業当初よりかなり力を入れてきたつもりのメニューですからね。それにアシスタントが売上を上げることができるものです。
スタイルの為にカラーやパーマを勧めることが多いですが、“髪にやさしい”薬剤も出てきたことで、トリートメントを一緒に勧めなくなっていたかもしれません。お客様の髪に優しいということを考えた場合は、やはりもっと勧めるべきだと思います。ただ今までと同じ薬剤だけではどうしてもインパクトに欠けるような気がしますので何か新しいものも追加してみるのはどうなんでしょうか。1つの考え方として、CさんDさんが売上を上げられる新しいメニューを作ってあげるというのはどうでしょうか。」



これに対してFさん
Fさん:
「なかなかおもしろい考えだと思うが、新しくて、魅力のあるメニューがあるのかなぁ。それにCさんDさんのモチベーションも上げていけるものが必要だよな。何かいい考えがあるの?」

と発言しました。
実は以前みんなの前で話をしたことがある“炭酸泉”のことが閃(ひらめ)いたのですが、あえて自分からはこの話題を出さないことにしました。


Aさんは続けます。
Aさん:
「この新しいメニューは、お客様に喜んでもらうものでなくてはなりませんし、こちらからも自信をもって勧めていけるものですね。お客様が喜んでくれるということは、担当したCさんDさんもうれしくなりますからモチベーションは上がると思うのです。それにうちの全員がいいと思うものでなくてはならないのです。以前よく売れていたトリートメントは、“全員”がいいものだと納得してお勧めしていましたからよく売れていたのだと思っています。だから全員で探してみましょう。絶対にあるはずです。成功すれば今回のテーマである大きな売上UPもいけるのではないかと感じています。」



Fさん:
Aさんの言うとおりだとしたらおもしろいものになるかもしれない。来週の経営会議までにいくつかの候補を考えてみることにしよう。是非BさんCさんDさんの意見も聞いておいて欲しい。できたらタイミング的にはBさんのスタイリストデビュー前にメニュー化できるものがいいと思う。新規のお客様向けメニューということでなく、今のお客様が喜んでくれるものにしたいと思う。」



Fさんは、Aさんの話にあった『大事なお客様がこちらサイドの“マンネリ”感で飽きてしまっているのではないかという危機感』からそうした意見を述べたのです。
Bさんのデビュー前にサロンメニューの変革を加えることで、今来ていただいているお客様の満足度を上げることを優先していくべきだろう、そしてその次のステップとして“新しいメニュー”の魅力でBさんの新規のお客様を集めたほうがいいと思えたからです。

Fさん自身は、新メニュー導入の条件として、

  1. ・みんながその強みをしっかり伝えることができ、それが新たなお店の魅力になること
  2. ・施術はBさんも含め、CさんDさんが中心になって行なえるもの 
  3. ・短期間で習得できるメニューであること。
  4. ・投資は必要だが出来るだけ低く抑え短期間で回収できるもの

この4つをクリアできるものであるとしました。

そんないいものがあるのかどうかまだ少し疑問でしたが、Aさんの内容の2つに加え、以前勉強した経営セミナーの話の中で『投資と回収』というテーマがあり、最後の3つ目と4つ目の条件として入れたのでした。

この条件を、Aさんに伝えました。Aさんからはどんなものが出てくるのでしょうか。
また、Aさん自身の売上UPの施策とはなんだろうか・・次回の回答も楽しみでした。

今回の経営会議のテーマであった≪対策Ⅰ≫については、『売上目標40万円UPを目指す』『そのために、新しいメニューでの売上UPとAさん自身の売上UPを目指す』とし、また『売上がUPしても新しいスタッフは雇わなくてもいいのではないか』という方向で進めて行こうと決めました。
売上UPの具体的な施策については次週の経営会議までの課題としました。


Fさんは、先ほど閃いた“炭酸泉”のチラシをもう一度手にとってみました。
ここには、『“ピュア髪”のすすめ』と書かれていました。『さらさら、ふんわり、つやつやに。』という文字も目に入りました。この表現のとおりならば、お客様も喜ぶだろうなぁ・・・と漠然と考えていました。

『良さは体験すれば納得いただけるはずです』という言葉も飛び込んできました。
これは一度体験してみる価値はありそうだ。

「メニュー体験に行くのであれば全員で行く方がいい」と、以前“ヘッドスパ”成功サロンのオーナーが話していたのを思い出しました。オーナーだけで決めてしまうとスタッフはやらされている感だけが残り、折角のいいものをお客様に伝えきれず、結局うまく行かない場合が多いと・・・。

また、そのオーナーのエピソードとして
【自分は「こんないいものはすぐにでも導入したい」と思ったのに、参加したスタッフは「いいですね・・・。」といった反応しかなく、「あれ、どうしたのかなぁ」と思ったものの、その時は理由が分からなかった。
後日1人のスタッフと話す機会があり、「なにか問題でもあるの?」と聞くと、そのスタッフの悩みが“手荒れ”であり、今も“手袋”をしてシャンプーしている、“ヘッドスパ”を導入した場合、“手袋”ではダメではないかと悩み、他のスタッフにも相談していたそうだ。そのため、さっそくお客様にアンケートをとり“全く問題がない”との回答をもらい、みんなに伝えた。
スタッフは、遠慮してなかなかオーナーには本音を言えないものだ。】
とも言っていた・・。


“炭酸泉”を新メニュー候補にという提案を、Aさんからの提案を聞いてからするのか、その前に話をするのがいいのか少し迷いましたが、『Bさんをはじめスタッフは、私よりはAさんの方が本音を話してくれる可能性が高いはず』と考え、
Fさん
「話を聞いた当初は、売上UPの手段としてこんなものが出ているのか程度の考えだったけど、Aさんの話を聞いていると“炭酸泉”も候補の1つとして考えていいのではないかと思えてきたんだ。これでないといけないという決定事項ではないけど、一度みんなと相談する際に取り上げてみてくれないかな。もし参考になるなら一度体験だけはしてみていいのかなとも思う。行くのなら私も含め“全員”で行くことにしたい。」

と伝えました。

Aさんは、にこりと笑い「わかりました」と答えました。

次回は、Aさん自身の目標UPの考えをお伝えしましょう。


(次回につづく)