第4回:『サロン経営』をスタッフと一緒に考える 前編/「教えて!澗口さん」 Fさんの事例[開業5年。売上の伸び悩みを解決したい] タカラベルモント サロンオーナー経営講座

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第4回:
『サロン経営』をスタッフと一緒に考える 前編


前回Fさんは取り組むべき優先課題と、その為の施策を決めました。
そして、売上や新規客の減少について詳しく調べてみたところ、Fさんと共に売上の多くを担うスタッフAさんの売上が大きく落ち込んでいる事に気づきました。


Fさんは考えました。

今までは、『店の運営』という考え方だけで、この5年間順調にこられたが、これからはみんなと一緒に考える『店の経営』ということも考える必要があるのではないだろうか。『経営』を考えるのは、何も自分ひとりで行なう必要もなく、全員で考えるほうが良いと、先日のミーティングでも思いました。

そこで、まず今回は、開業当初からのメンバーAさんと『経営』という視点で一緒に考えてみることにしました。

もちろんテーマは、『Bさんのスタイリストデビューを成功させる』です。

Aさんとのミーティングは“経営会議”と名づけました。開業以降初めての経営会議です。
今までも2人で話すことはずっと続けてきましたし、Aさんとも相談していろいろなことを決めてきましたが、いつもFさんAさんに相談するという一方通行的な“話し合い”でした。Aさんからこれからこうしたいという提案はなかったのです。今回の“経営会議”は、できるだけAさんから提案をしてもらうようにしようと決めていました。

次の日曜日の夕方から、その“経営会議”を行なうことにしました。時間は2時間を予定。
2人の仕事が終了後、先日の売上データを基にまず現状の再確認から始めました。

Aさんは、自分の売上が下がっていることを認識していました。
その原因は、少し“マンネリ”になっている自分がいるという表現でした。
それと、やさしいAさんは、Bさんがデビューする際には、自分が担当しているお客様を回すつもりでいたようでした。ですからフリーで来店されたお客様に「今度B君がデビューするので、そのときはB君をよろしくお願いしますね」という話をしていたのです。

これを聞いたFさんは、Aさんの考え方の2つの“間違い”に気づきましたが、それはすぐに口に出しませんでした。
Fさんは「B君のデビューを成功させるためにはどうすれば良いのかを一緒に考えて欲しい。B君のアシスタントを採用するためには、売上を月平均40万円UPさせることとそれを半年以内に達成するメドを立てたい。1つ目は、どうしたら売上を上げる方向に導けるのかという点。もう1つは、さらにB君が売上を上げていける仕組みを作るという2点に絞って話をしたい」と、今日のテーマの2つをあげました。

まずは、≪対策Ⅰ≫です。
【アシスタントを新たに1人採用するために、月売上を最低40万上げる】
Aさんの売上がFさんと同じ8%上がっていたとしても、月約15万円のUPにしかなりません。もっと根本的な解決方法が必要になります。
ですから、さきほどのAさんの“間違い”をあえて取上げなかったのですが、根本にある考え方は変えてもらう必要があります。そして、それはAさん自らが気づくカタチが一番いいはずなのです。

FさんDさんにお願いして今年一年間で使われていたカルテの枚数を数えてもらっていました。カルテの枚数は850枚でした。つまり一年間のお客様は850人いたということです。

また、ここ3ケ月来店されていないお客様のカルテのコピーも用意してもらいました。

【新たな売上UPの仕組みを再構築する必要】
売上が上がる仕組みは、Aさんだけが月15万円取り戻したとしても解決しないことは、確認済みです。つまりFさん自身の売上UPも、Aさんの更なる売上UP、あるいはBさんCさんDさんの現在の10%を占める売上UPも含めて検討する必要があることになりそうです。でも単純な客単価UPだけでは、難しそうです。

ここまで集めたデータを20分ほどAさんに確認してもらいました。

Aさんにとっては、自分の売上がダウンしていることも予想通りでしたが、自分の売上の回復だけでは解決できないことも分かってきました。
月240万円の売上を月280万円の売上にする20%弱のUPの仕組みを求められているので、自分だけのことを考えている場合ではないのだと初めて気づきました。
もう1つ、売上数字と用意されていたカルテをじっくり見て、ハッと気づくものがありました。「この1、2年でしてきたことは間違いだったのか!」
ここでは何から話をしたらいいのか、しばらく考えてから発言しました。

Aさん:
「まず、自分の売上を現在より20万円上げて110万円にすることを目指します。かなり大きな目標UPですが、このくらいの目標を設定することで、自分が感じていたマンネリ感を打破できると思います。具体的な自分の施策は1週間ほど真剣に考えてみますからそのときまで待ってください。」

B君のデビューは、是非成功させたいし、自分もすごく応援したいと思っていました。だけど先ほど話したように自分のお客さんに『Bさんをよろしく』と話したことは間違っていたようです。さきほどのカルテ(3ケ月来店されていない)に僕の担当したお客様が含まれていましたが、『Bさんをよろしく』とお伝えしたお客様が数名含まれていました。これは、それだけが原因ではないでしょうが、リピートしていただきたいと思っていた方も、リピートしてくれると思っていたお客様もいました。お客様は、私が担当していいかどうかを見極めたいタイミングでそんな話をしたら、『私は適当に扱われている』と感じたかもしれませんね。

もう1つは、2年以上来てくれていたお客様も含まれていました。これもひょっとすると、『このお客様はもう自分のお客様だし、いろいろ提案してもこれ以上のメニューをやらない方だ』と決め付けていたかもしれません。さっき話をした“私のマンネリ”をお客様が感じていた結果かもしれません。」



Aさんは自分の目標をはっきり設定しました。Fさんが考えていた以上の回答を引き出せたかもしれません。

それにしても月110万円とは大きな目標を設定したものだとFさんはある意味驚きました。どうしてこんなに高い目標を設定したのか。その理由は、来週の『2回目経営会議』で聞こうと思いました。
また、ひょっとして役にたつかもしれないとDさんに出してもらっていたカルテもいいヒントになったようで、Aさんは2つの“間違い”に気づいてくれたようです。
でも、残りの20数万円をどうするのかをまだ考えなくてはなりません。
すると少し自分のことに触れて話したので、少し気が楽になったのか、Aさんが続けて話し始めました。


Aさん:
「売上を上げることは、本当に大事なことで、B君のデビューのために上げていかなくてはならないことも分かりました。だから何としても月40万円上げることは、真剣に考えていくことだと思います。

ただ、B君のデビューに合わせて新しいスタッフを雇うという条件は、本当に必要かどうか考えてみる必要はありませんか?CさんBさんのスタイリストのデビューに合わせてスタッフが必要だと考えているようですが、CさんDさんの2人のアシスタントで回していくことは充分可能だと思うのです。

開業当初は、2人でスタートしましたね。当時は、自分もFさんも忙しいときには、自分のお客様を全部やっていませんでしたか?2年目にB君が入っても1日、1日バタバタしながらも何とかお客様をこなしていましたよね。この原点で考えれば何とかなるような気がしています。B君もその当時のことを話せば分かってくれると思うのです。

問題はCさんのことですね。彼女は本当にバタバタした体験が少ないですからね。」



Aさんから、Fさんの発想にない新しい意見が出ました。Aさんの「スタッフを増員しなくてもやっていけませんか?」という意見。今まで、毎年1人を採用することが当たりまえで、何の問題もないと考えていたことに初めて気づきました。スタッフが増えることで、お店が大きくなる、売上が大きくなると漠然と思っていたのです。
でも、こうした現実に直面して初めて、違う考え方も必要なのかもしれないと気づきました。

別の解決方法も検討するという方向も見えてきました。Aさんの“経営”という視点に立っての発言が引き出せました。会議はあと50分ほど残っていますが、今回の話はここまでとします。
次回は、≪対策 Ⅰ≫については結論に近いところまでもって行きたいですね。


(次回につづく)